構造用合板をはると壁の内部が結露するかもしれないなんて!
地震大国の日本で建てられる建物にとって、とても大切な耐震性。
木造住宅においても耐震性は避けることのできない重要なチェックポイントですよ。
ヤスヤマ
木造住宅で地震に強い建物を作る場合、「耐力壁」と言われる強い力にも耐える壁をバランスよく配置することが大切です。
この「耐力壁」の量や配置場所によって、耐震等級が決まりますから。
この耐力壁には、
✓柱と柱の間に斜めに木材を入れる『筋交い工法』
✓構造用合板を貼っていく『面材工法』
があります。
面材工法の場合、断熱材が入れやすいなどのメリットがあるため現在では広く採用されている工法ですが、「壁の中で結露しやすい」という別の問題が新たに認知されるようになってきました。
そんな構造用合板を用いた面材工法の場合の注意点と対策をまとめてみました。
どんな建物でも結露は発生する
現代の建物は結露との戦い
住宅にも性能が求められるようになり、高性能な断熱材や気密を確保するための種々の材料が開発されてきました。
断熱性能や気密性能が向上すれば、暖冷房に費やすエネルギーの量が減りますし花粉などの屋内への侵入を防ぐことができます。
しかし、住宅の性能が向上すればするほど「結露」の発生が問題化してきました。
気密性が向上した建物では、高気密ゆえに室内で発生した水蒸気が逃げ場を失い、室内にとどまってしまいます。また、断熱性能が向上したとは言え窓ガラスの表面などは冬場は冷たくなってしまいます。
建物の性能向上が冬場の結露発生という問題を助長しているとも言え、なんとも皮肉な状況ですね。
ヤスヤマ
結露は、湿気と温度差の問題
結露が発生するメカニズムはいたって単純です。
空気の中に含まれている水蒸気の量(以下「湿気」)と、その湿気を含んだ空気とその空気が触れる物質(ガラス窓だったり、壁だったり)の表面温度の差。それら2つの関係の中で条件によって結露が発生したり、しなかったりします。
ちなみに。巷でよく聞く話に「オール電化だから結露しない」というようなものがあります。けれども、オール電化住宅=結露しにくいという図式は正しくはありません。
先ほど書きましたように湿気を含んだ空気が冷たい物質の表面に触れることで結露は発生します。ですのでその建物がオール電化かどうかは一切関係ありません。
あくまで結露の発生は、空気中に含まれる湿気と温度差の2つの条件によって決まります。
どんなに高性能な建物でも、結露する可能性はゼロにはなりません!
どんなに断熱や気密などの性能が高くても、室内での結露は条件によって発生します。
結露発生の問題は空気中に含まれる湿気と温度差で決まりますので、本当に結露の発生をゼロにするためには、
▶内外の温度差をなくすか
▶室内の空気中に含まれる湿気の量をゼロにするか
しかありません。
でも、空気中に含まれる湿気の量がゼロとなるような環境はもちろん人間にとって住みやすい環境ではありませんよね。快適な暮らしと結露の問題は、残念ながら相反する部分があるのも事実なんですね。
壁の中で発生する結露
断熱材が入っていても、結露は発生する
建物の設計者でもよく間違ってしまうのですが、「断熱材がキチッと施工されていれば結露しない」と思うのは間違いです。
「断熱材」は「熱を断つ」と書きますが、屋外と屋内の温度差を完全に分断しているわけではありません。
断熱材は金属やガラスよりも熱の移動は緩やかですが、その断熱材を通じて室内と室外の間で熱の移動はやはり発生します。
湿気と温度差があればそれが断熱材であったとしても条件によっては結露は発生してしまいます。
やっかいな壁内結露
何度もしつこいですが、湿気と温度差があれば、結露は条件によってどこでも発生します。
ヤスヤマ
窓ガラスなど日常目にする場所で結露が発生した場合、それの水滴をふき取るなどの対策はできます。
しかし、人の目のとどかない壁の中で結露が発生する場合もあり、実はそれが厄介な問題となります。特に断熱材内部で結露が発生してしまった場合、断熱材内部にカビが発生するなどかなり厄介な問題になります。
カビの発生だけが問題ではありませんよ。
壁内が結露することで断熱材に水分が含まれてしまい、断熱効果も下がります。
そのまま放置すると、構造材が腐ることもあります。そうなると、耐震等級3の家だったとしても、耐震強度は激減しますよね。
さらに、壁内の木が腐ることでシロアリを呼びよせてしまいます。。
構造用合板は強度の面では有利なのですが…
建物を地震などから守るために、筋交いを入れたり構造用合板を貼ったりして建物の耐震性を向上させます。
耐震性を確保するために筋交いを用いる場合もありますが、構造用合板を柱の外面に貼りつける『面材工法』は、2×4工法は当然として在来軸組工法でも一般的に広く採用されています。
強度上有利な構造用合板を使った面材工法。けれども、柱の外面に貼る構造用合板が、壁の中に入りこんだ湿気の逃げ道をふさぐこととなり、壁の中で結露が発生するという厄介な問題を助長させています。
結露の発生を抑えるためには、構造用合板の「透湿抵抗」が肝心
湿気のコントロールが大切
これまで何度も書きましたように、結露の問題は空気中に含まれる湿気の量と、その湿気を含んだ空気が触れるものとの間にある温度差で決まります。
温度差小さくするか、空気中に含まれる水分の量を極力少なくするか、で結露の発生は抑えられます。
でも。。冬の寒い日に内外の温度を小さくすることは、室内の温度を外気に近づけることになりますから現実的ではありませんよね?
ですので、ある程度快適な環境を維持しつつも結露の発生を抑えるためには、空気中に含まれる湿気のコントロールが大切になります。
「透湿抵抗値」をチェック
建物をどんなにカンペキに作ったとしても、室内の湿気をどんなにコントロールしたとしても、残念ながら隙間をゼロにすることはできませんし、全く湿気を含まない空気の中で生活するのは健康的ではありません。
ですので、壁のなかにも湿気は侵入してしまいます。
極力壁の中に湿気を入らないようにしつつも、万が一壁の中に入ってしまった湿気があったなら速やかにそれを排出するような設計にしてあれば、壁の中で発生する結露はゼロに近づけることができます。
それが通気層工法です!
ヤスヤマ
通気層工法詳しくはこちら>>>
そのような結露対策を設計に反映する場合にチェックしておきたい項目が「透湿抵抗」です。壁や床、天井・屋根などに使われる材料、それぞれについて湿気を通しやすいかどうかを計った数値です。
この数値は、大きいほど湿気を通しにくい、小さいほど湿気を通しやすいという訳です。
室内側から外に向かって透湿抵抗値が小さくなるように
壁の中での厄介な結露を防止するためには、室内側から室外側に向かって透湿抵抗値がだんだんと低くなるように配置すると良いです。
壁の構造の室内よりに防湿シート(透湿抵抗:0.1m2・s・Pa/ng)を施工し、室外側に向かって透湿抵抗の数値が段々と低くなるように配置する。そうすると、万が一壁の中に湿気が入り込んでしまったとしても、速やかに外部に排出されます。
ちなみに合板の透湿抵抗値は0.011(m2・s・Pa/ng))程度。
断熱材としてよく仕様されるグラスウールで透湿抵抗は0.0006。
地震に強い家をイメージして構造用合板を柱の外周に貼った場合、その構造用合板が湿気の逃げ道をふさいでいるということは、透湿抵抗を比べてみれば解ります。
室内側に防湿シート(0.1)、断熱材(0.0006)、構造用合板(0.011)。
このような構造の壁の場合、湿気を通しやすい断熱材を湿気の通しにくいシートと合板でサンドイッチしているように見て取れます。
このような場合ですと、万が一壁の中に湿気が入り込んだ場合そ、の湿気が内部結露となる可能性が非常に高いです。
耐震性確保のための構造用合板をより透湿抵抗の数値が低い建材と置き換えると壁の中での結露発生を改善することができるんですよ。
例えば大建工業の「ダイライトMS9mm」という製品は、構造用合板と同様に面材工法で耐震性を確保する製品ですが透湿抵抗は0.0011と通常の構造用合板の約1/10程度となります。
構造用合板を使うと壁内が結露する・・・まとめ
耐震性と壁の内部での結露の問題のように、何らかの性能を上げようとすると他の面にマイナス要因が発生するというのは家造りの中では多々あります。
全ての面で100点満点でクリアすることは、実質不可能と言えます。
なので、家造りはバランスが大切なんですね!
ヤスヤマ
そのマイナス面をどうやって克服していくか?
どうやってバランスをとっていくか?
それが建築のプロである設計者の腕の見せ所というわけです。
この建材を使えば良い。
この工法で建てれば問題ない。
そんな単純な問題ではありません。なので、建築会社選びは慎重に、慎重に。
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