片流れ屋根のデメリットとは?外壁通気構法の雨漏りリスクを知っておこう!
最近、本当に片流れ屋根(かたながれやね)をよく見るようになりましたね!
ヤスヤマ
10年ほど前から、戸建住宅に片流れ屋根を採用するケースが増えてきていますね。これは、コスト面やデザイン性が従来の寄棟や切妻屋根に比べて優れているから。
ただ、メリットもあればデメリットもあるのが世の中の常識とも言えますよね?
そう!片流れ屋根には『雨漏り』という大変重大なリスクをはらんでいるのです。
片流れ屋根を採用するなら、メリットばかりじゃなくデメリットとその対策を把握しておきましょう。
片流れ屋根のメリット
最近多くの住宅で採用されている訳ですので、当然メリットがあるわけです。
片流れ屋根はデザイン性が高い
まずは、何といってもそのデザイン性の高さ。
従来の寄棟や切妻屋根などに比べると、目新しさがありますよね!単純にシンプルさが増しますし。
更に、軒の出を無くせば、今人気の箱型デザインになります。ガルバリウムのような金属屋根との相性もGOOD。
片流れの屋根は太陽光を載せやすい
片流れ屋根は屋根面が一枚で一方向を向いた形となるため、太陽光パネルを載せやすいというメリットもあります。実は、太陽光発電の普及とも重なって片流れ屋根は増えてきたという訳です。
寄棟や切妻屋根と比べると、片流れ屋根の方が南面の屋根により多くの太陽光パネルを載せることができるから、ですね。
片流れ屋根はコストが低い
寄棟や切妻屋根と比較すると、小屋裏空間を小さくすることが出来るため、コストを低く抑えることができるわけです。
このように、片流れ屋根にはメリットが多いように思われますが、雨漏りリスクが高いというデメリットがあるというのはご存知でしょうか。
現在では標準仕様となっている外壁通気工法との組み合わせで注意する点はないでしょうか。
片流れ屋根のデメリット:雨漏りリスク
屋根の棟や谷は雨漏り箇所の代表的な部分で、それらがない片流れ屋根の雨漏りリスクは実は低減する、とも言えます。
けれども、片流れ屋根の形状から、寄棟や切妻屋根にはない固有の新たな雨漏りリスクもあるのです。
外壁通気工法の仕組み
現在の新築住宅では、何らかの形で外壁通気工法が標準で採用されています。
外壁内の通気層を通った空気は、軒や屋根を介して外部に排出され、建物外周部を乾燥させる仕組みになっています。上の図は一般的なもので、構造躯体(柱や間柱など)の外壁側に空隙をつくり、その外側に外壁下地や仕上材を設けます。
雨漏りで外壁内に雨水が侵入した場合でも通気層内を下方に流れ、通気で乾燥させる役割を持っています。また、外壁内の湿気や結露も通気で乾燥させます。
いずれの場合も、外壁通気工法の最大の目的は、構造躯体を腐食から守ることです。
ですから、通気層を流れる空気の入口と出口が必要になり、それぞれに換気口を設けます。入口は土台付近に設けられ、出口は軒と屋根部分に配置されるのが一般的です。
外壁通気工法の詳しい記事はこちら>>>
換気口から雨漏りする理由
上の図で分かるように、片流れ屋根の水上側の軒裏は、雨が侵入しやすい形になっているんですね。
また、風の強い日には煽られた雨水が軒先から侵入してしまいます(A)。さらに暴風時には、雨は壁を下から上に這い登り、軒でせき止められた大量の雨水が屋根裏や外壁内に侵入してしまうわけです(B)。
上の図は、片流れ屋根で特に顕著になる風雨時の問題点に気づかずに施工してしまい、雨漏りとなるケース。
そのため、寄棟や切妻屋根以上に、防水ルーフィングや外壁の防水・透湿シートの施工に注意しなければなりませんが、合わせてそのような場所(軒裏)には換気口を設けないのが一般的です。
片流れ屋根に不慣れな施工業者が、寄棟や切妻屋根と同じ感覚で軒裏に換気口を設けた場合は、ほぼ間違いなく雨漏りの原因になります。
施工不良と認識不足による雨漏り
意外かもしれませんが、近年起こっている片流れ屋根の雨漏りは、片流れ屋根が流行りだした頃の住宅なのですね。
寄棟や切妻の屋根には、それまでのノウハウが生かされていますが、流行りだした頃の片流れ屋根では、固有の問題点に気づかずに施工されてしまいました。そのことが原因で片流れ屋根の雨漏りが起こっているのです。
片流れ屋根の雨漏りに対する弱点は、上で述べたように水上側の軒先と外壁部分にあります。つまり、片流れ屋根の水上側の軒先部分は、雨水を受け入れやすい形になっているのが問題なのです。
現在の新築住宅の片流れ屋根では、近年の雨漏りトラブルから、雨漏りの防止ノウハウも普及し改善されていると思われますが、不勉強あるいは不慣れな業者では注意が必要です。
換気口をなくすこともあり?
雨漏りリスクを心配して、換気口をなくす建築会社があるかもしれません。結露しにくい地域や住宅の仕様によっては、この考え方にも一理あるかもしれません。
ただし、その場合は外壁通気工法とは言えず、外壁と躯体の間にある空隙は、単に外壁内に侵入した雨水を下方に逃がすだけの役割になります。
だったら、外壁内の湿気や結露はどうなってしまうのでしょうか?
ヤスヤマ
吹付けのウレタン断熱材や気密シートなどで、どんなに高断熱・高気密の住宅にしても、通気しない外壁内では乾燥状態にしておくことはできません。壁の中が腐ってしまう危険性が……
やっぱり出口としての換気口が必要なのです。
雨漏りしにくい換気口ってある?
どんな強風・暴風雨の時でも絶対に雨水が侵入しない換気口と言うものは考えられません。
ただ、雨水の侵入を最小限にし、侵入した雨水も外部へ逃がす機能を持った換気口はあります。
外壁通気層からの空気は屋根裏に入り、換気口を通じて外部に排出される構造です。
また、雨水が入りにくい構造としており、万が一水切り内部に侵入した雨水も水返しのところから防水ルーフィングの上を流れて排出する仕組みになっています。
これは一例で、メーカーや屋根の仕様によって様々なものが工夫され製品化されています。
そして、使用部位や屋根仕様による適材適所の水切り・換気口の選択が重要ですから、やっぱり片流れ屋根の施工に馴れた業者選びが重要と言えますね。
片流れの雨漏りリスク・・・まとめ
片流れ屋根は、従来にはない外観デザインを可能にしてくれます。
シンプルでお洒落なデザインには、都会的で合理的な印象もあります。また、太陽光パネルを載せる場合にも、屋根面積・形状などで有利な屋根です。
一方で、片流れ屋根固有の形状から、寄棟や切妻屋根にはない弱点もあります。
特に、水上側の軒の雨仕舞や換気口には注意が必要で、不慣れな施工業者では雨漏りの原因となります。
片流れ屋根が流行りだしてから、10年ほどが経ち、現在では弱点に対応した納まりのノウハウも普及し専用の換気口も用意されています。
要するに、こういった片流れ屋根のメリット・デメリット、そして外壁通気構法を正しく理解して、適切に施工してくれる建築会社を選ぶことが一番重要という訳なんですね。
ユーザーの質問や不安に十分な説明もなく、「お任せください」と回答するような建築会社は避けておいたほうが。。。
工務店選びは慎重に、慎重に。ですね。
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