家建てた後じゃ遅い!シロアリ対策、新築時にやっておくべき5つのこと
今は、ほとんどの建築会社で新築時にシロアリ対策(防蟻処理)を行っているはず(しない会社あるの?)。
とは言え、新築時から数年経つと・・・・シロアリ被害に遭われるケースが後を絶ちません!
そんな時、ネットで検索しているとやたらと目にしませんか?
ヤスヤマ
そうそう!シロアリ駆除業者のサイトです!!
やたらと、『薬剤散布推し』です。でも、この薬剤散布によるシロアリ駆除方法って5年ごとにしなくてはいけません。
5年ごとってかなりお金かかりますよね?
ヤスヤマ
安心してください!シロアリ被害に遭ってから対処するより、きちんと新築時に対処しておけば5年ごとの薬剤散布処理なんて必要ないんですよ。
日本はシロアリ被害が多い国
日本は湿度が高いという気候的にも、木造住宅が多いという構造的なことからも、シロアリ被害が多い国です。日本に滞在するシロアリの種類は、大きく3種類と言われています。
日本に滞在するシロアリの種類
ヤマトシロアリ
特別な巣を作ることはありませんが、湿った木材を食べます。家が倒壊するほどの被害には至らないことが多いです。
イエシロアリ
至る所に巣をつくり、湿った木材以外に乾いた木材も食べ、家中を食べつくすので震災時の家の倒壊の原因になることもあります。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカから渡来したといわれるシロアリで、家の柱や梁以外にも家具や建具をなどの乾材を食べつくしていきます。巣をいくつも作るため、ひとつの巣を駆除しても意味がないことが多いです。
新築なのにシロアリ被害発生!?
シロアリ被害、実は建物の築年数には関係ありません。
築20年で被害に遭わない木造住宅もあれば、築3年でも被害に遭う住宅もあります。古い住宅であっても被害が出ればショックを受けますが、新築であればなおさらショックですよね。
被害が起こってからではシロアリ駆除するのも、原因を探すのも大変。しかも、駆除方法は薬剤散布ぐらいしかありません。なので、まずはシロアリ被害にあわないように予防対策をしっかり考えていくべきです。
シロアリ対策の前に知っておくべきこと
シロアリ対策の必要性
シロアリは家屋や家具に使われている木材を食べてしまいます。一般的には、床下の被害が多いですが、壁や屋根裏まで及ぶ場合があります。
食べられてしまうことで木材の中身がスカスカになり、本来持っている耐久性を失い、耐震性をも損なうことがあり得るのです。いくら新築のタイミングで耐震性の事を考えていても、木材が腐ってしまえば何の意味もありません。
このことからもわかるように、シロアリ対策はとても重要なポイントで必要不可欠な対策なのです。
シロアリ対策のタイミング
昔の家のように、床下にもぐれて、柱や梁が見えるようになっている住宅の場合は、後からでもシロアリ対策を行うことは可能です。
ただ、近年の住宅は、昔の家のように柱や梁が見える住宅ばかりではありません。
という事は、柱や梁が見えるタイミング=新築時にシロアリ対策を行うのが一番なのです。一般的には、上棟後に行うことが多いです。
ベタ基礎だったらシロアリ被害大丈夫!?
よく、ベタ基礎だったら、シロアリ対策は大丈夫!と耳にすることがありますが、残念ながらそうではありません。
ベタ基礎の場合、地中の湿気が上に上がってこないので、見えない床下や壁の中が湿気ることを防いでくれて、布基礎より良いと言われています。
ただ、ベタ基礎は多くの場合2回に分けて打設するため、その継ぎ目の隙間から侵入したり、配管・配線用の穴から侵入することも考えられます。
ベタ基礎だからといって、確実にシロアリ被害を防げるわけではないと覚えておいたほうが良いでしょう。
基礎断熱工法は良くないの!?
建物の断熱工法を考えたときに、2つの選択肢があり、その1つが基礎断熱工法です。床下空間を室外ととらえる床断熱工法なのか、床下空間を室内ととらえる基礎断熱工法なのか、この選択によりまず断熱材を敷き詰める場所が変わってきます。
どちらが正解・不正解とかはありませんが、基礎断熱工法のほうがシロアリ被害に遭う確率が高いとされています。
ただ、基礎断熱のほうが高気密・高断熱の観点からメリットがありますので、最近は増えてきているのが現状です。
現在は防蟻処理された断熱材も出てますので、そういうものでデメリットを補うことも可能ですし、断熱材も基礎の室外側ではなく室内側に貼ることで、シロアリの侵入も防ぎやすくなります。
あなたご自身のやりたい事もあります。建築会社によって考え方の違いもあります。シロアリ対策の点だけでなく、気密・断熱の観点やコスト面も含めて、設計士さん、建築会社さんとぜひ相談してください。
シロアリ対策は義務付けられている!?
建築基準法ではシロアリ対策は義務付けられていません。
が、フラット35や長期優良住宅の申請を行う場合は必須。K3相当以上の防腐・防蟻処理もしくはベタ基礎で加圧注入木材を用いた場合は長期優良住宅の認定基準をクリアします。
また、全ての新築住宅は瑕疵担保責任保険に入る事を義務付けられていますが、その設計基準でも防腐・防蟻処理は義務付けられていませんので、一般的に防蟻処理に関しては、建築会社と設計士、あなたご自身によってどう予防・対策をしていくか決めることができます。
ただ、義務付けられていなくても、近年ではほとんどの建築会社が何らかの防蟻処理を行っているはず(と思います)。
保証・保険
新築時の防蟻処理には保証書が発行されますが、一般的には長くても5年の保証になります。ホウ酸を使った防蟻処理の場合は、最長15年のものも出ているようです。
シロアリ被害は、火災保険では適用されませんし、これといったシロアリ被害の保険もありません。国で義務化されている瑕疵担保責任保険でも、シロアリ被害については免責となっています。
中古住宅購入の際に、条件によってはシロアリ特約をつけれる保険も存在します。備えあれば憂いなし、ですが実際はシロアリ特約をつける方はほとんどいませんね。
やはり、新築時にシロアリ対策をしておくことが重要ということですね!
ヤスヤマ
新築時にすべきシロアリ対策5つの注意点
1.防蟻処理の方法
防蟻処理には大きく2通りの処理方法があります。
土壌処理
一般的にシロアリは地中を通って建物内に侵入してくる為、通過する恐れのある土壌に防除剤を散布する方法です。
木材処理
▶木材表面に薬剤を吹き付け処理する方法
▶木材表面に薬剤を刷毛等で塗布する方法
▶薬液を加圧注入する方法
があります。通常、地面から1mの範囲にある木材に対して処理します。
どちらが優れているとか、どちらが悪い、とかはありません。あなたが建てられる家の構造や予算に適した対策をとることが一番重要です。
2.メンテナンスし易い構造・状態
100%シロアリが侵入してこない建物を作るということは残念ながら不可能なので、侵入しても発見・対処ができる家の構造にしておくことが最も重要です。
最近は、床下にもぐれない構造の建物もありますが、シロアリの観点から考えると、やはり床下点検口から床下にもぐって土台を目視できる構造がベストな状態です。床下に入って内部の点検をするためには、床下の高さも必要です。
できれば有効で33cm以上は確保したいところですね。
また、蟻道を見逃さないよう、建物の外部も目視できる状態にできれば尚良い状態です。具体的には、
✓物置は建物から離して置く
✓ウッドデッキを設置しない
など、家の周りを見渡せる状態でキープしておくことが早期発見につながりますよ。
蟻道(ぎどう)って何かわかりますか?
ヤスヤマ
その蟻道は直接、家の土台や基礎に繋がることもあれば、排水管などを伝って壁に達することもあります。移動手段でありながら、生活空間でもあるため、形状は様々。
一見、なんともないこの小さな蟻道が、家全体をも脅かす存在になるのですから、甘く見てはいけませんね。
3.構造体の樹種
被害に遭いにくい樹種としては、チーク、ヒノキ、ヒバなどがあります。
これらの木材を柱や1階部分など地面に近いところに使うことで、家がシロアリ被害にあうリスクを減らすことができます。
気をつけたいのは、同じ樹種でも「心材か辺材か」によってもシロアリ被害への強さ・弱さが違うということ。水分の少ない心材のほうがシロアリ被害には強いと言われています。
一方、ホワイトウッド、スプルス、エゾマツなどはシロアリの被害に遭いやすい樹種とされています。
ローコスト住宅では、ホワイトウッド等がよく使われていますので、施工会社と費用面やメリット・デメリットに関してトータルバランスで検討することが重要だと思います。
安かろう、悪かろう、では後で余計に費用が掛かってしまうことも十分にあり得ますからね!
ヤスヤマ
ただ、いずれの樹種でも心材でも100%シロアリ被害から防げるわけではありません。それ以外の対策と合わせてしっかり行うべきですよ。
4.薬剤の選定
シロアリ用薬剤の中には、体に影響のある危険な薬剤もあります。
その薬剤に含まれている化学物質でアレルギー反応を起こしてしまう事も、シックハウス症候群の一種に当てはまります。それはアレルギー体質の人に関わらず、誰にでも起こる可能性があるのです。
薬剤もいくつか種類はありますが、一般的なものはネオニコチノイド系の薬剤です。農薬などに使われている比較的新しい薬剤です。昆虫類のみに作用するため、人体への影響が少なく安全性とされていますが、使用を禁止している国もあるのが事実。
現在使用されている薬剤は、人間には安全とされているものばかりですが、やはり心配のある近隣の方は事前に薬剤塗布日を教えてもらい、当日は避難する方もいらっしゃいます。
シロアリ対策用薬剤の中でも、ホウ酸処理によって行われる方法は、人体への影響がありません。しかも、効果は半永久的!
ホウ酸は自然界にある物質で目薬等にも配合されており、人体には影響がないが、蟻のような腎臓を持たない下等生物の場合は、餓死することがわかっています。
一般的に使用されている薬剤よりは費用がかかりますが、欧米のスタンダードとなっているホウ酸を利用するのも選択肢の一つだと思います。
近年は、薬剤に対する安全意識が高まっていますので、安全性を重視して前述した無機系のホウ酸を選択するか、一般的に使用されているネオニコチノイド系の薬剤を選択するか、よく考え判断する必要があります。
ちなみにこの記事の最初でお話した5年ごとの薬剤処理が必要なのは、ネオニコチノイド系の薬剤になりますので、あまりおすすめはしません。マイホーム塾的にはホウ酸推しですね。
5.通気性
シロアリ対策のみに関わらず、建物を長く良い状態で保つためには通期性=木材を乾燥させておくことが重要です。裏を返せば、通気性が良くないということは、建物の劣化を速めてしまうことになります。
床下の通気性だけでなく、壁の中の通気性も重要なので、壁が通気工法で行われているかどうか施工会社さん、設計士さんに必ず確認してくださいね。
壁の中が腐らない!外壁通気工法の詳細はこちら>>>
新築時にすべきシロアリ対策・・・まとめ
せっかく建てるマイホーム。やはり、大きな買い物なので、今後起こりうるリスクや、そのための予防対策など知っておくことが大切だと思います。
誰もができるだけ家の寿命を長く、きれいに保ちたいと考えるものです。
大切な家を守ることは、家族の命を守ることに繋がります。
シロアリ対策は、その要となる重要なポイント。新築時にしっかりシロアリ対策について考える必要があると思います。
▶シロアリ対策はどの方法か?どの部分か?
▶被害に遭いやすい部分の樹種は?
▶薬剤はどれを使用しているか?
▶通気性を考えた構造になっているか?
こういったポイントを良いことばかりでなく、デメリットも含めてきちんと説明してくれる建築会社で建てたいものですね。
マイホーム作りは慎重に、慎重に。
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