第1種換気システムの選び方!熱交換型・ダクト式・ダクトレスのデメリットから考える
現在は新築の住宅に義務化されている24時間換気システム。
その換気システム、
☑第1種換気
☑第3種換気
どちらにするのか悩みますよね?
選び方はカンタン。消去法で選んでください。
第1種換気システムの採用に決まったとしても、ちょっと待ってください。実はまだどれにするのか選ばないといけません。
高性能な住宅には必ず「第1種換気システム」が搭載されていますが、バリエーションが豊富な第1種換気システムに注目してその種類とメリット・デメリット、そして選び方についてまとめました。
第1種換気システムの基本
「第1種」の意味
住宅に取り付けることが義務化されている換気システム。
建築基準法のなかでは第1種から第4種までの4つのシステムが示されています。
室内を換気する場合、外のフレッシュな空気を取り入れる「給気口」と、室内の汚れた空気を排出する「排気口」が必要です。給気側と排気側のどこに機械(ファン)を取り付けるかで第1種から第4種までの4種類のシステムが分類されています。
第1種換気システムは、給気側にも排気側にもファンが取り付けられており、換気量をより正確にコントロールすることができるシステムです。
多くの場合「熱交換システム」がついてたいり、天井裏にダクト配管を必要としたりします。
しかし、あくまで給気と排気の両方にファンが取り付いているものが第1種なので、ダクトを用いないものもあれば、熱交換システムを伴わないものもありますからご注意ください。
第1種換気システムのバリエーション
給気も排気も機械でコントロールするのが第1種換気システムですが、そのバリエーションは豊富です。
ダクトの有無や熱交換システム搭載型、全館空調とセットになっているものから湿度までコントロールしてくれるものまで…以下に主なバリエーションについて表にまとめてみましたので、個別で紹介していきます。
第1種換気 | 全熱交換型 | ダクト式 |
ダクトレス | ||
顕熱交換型 | ダクト式 | |
ダクトレス | ||
熱交換なし | ダクト式 | |
ダクトレス | ||
第3種換気 | ダクトレス |
全熱交換型か顕熱交換型か熱交換なしか
法律によって24時間365日連続運転させなければいけない換気システム。その運転のために電気代も少なからずかかりますよね。
が、冷房や暖房を使う時期では、丁度よい温度にした室内の空気をわざわざ外に出し、替わりに外の不快な(暑い・寒い)空気が入ってきます。これでは暖冷房の効率が落ちてしまいますよね。。(冷暖房に使う電気代は余計にかかってしまう。。)
これが換気システム導入時に問題となりました。
給気と排気を機械でコントロールする第1換気システムの場合、給気側の配管と排気側の配管をクロスさせることが可能で、その交差する部分に熱交換システムを入れることが比較的容易でした。
ですから、「第1種換気システム=熱交換型」と誤解されるほどに熱交換システムを搭載しているものがほとんどです。
そして熱交換型にも
▶全熱交換型・・・すべて(顕熱と潜熱)の熱(温度+湿度)を交換
▶顕熱交換型・・・顕熱(温度のみ)を交換
の2種類があります。
ダクトの有無
第1種換気システムと言えば多くの場合ダクト配管を伴います。
個々の部屋に給気と排気のファンを取り付けるとファンだらけになってしまいますし、コストもアップしてしまいます。建物全体の空気の流れをどこか1か所でコントロールできた方が何かと便利です。
ですので、少々大き目のファンを天井裏などに設置し各所にダクトを這わせて換気をするシステムが考案されました。
第1種の場合はこのダクト式のシステムが一般的です。
また、部屋ごとに換気する形で、天井裏にダクトを配管することなく(ダクトレス)第1種を実現しているシステムもあります。
一番有名なのは三菱電機の「ロスナイ」シリーズです。
エアコンの1/3くらいのサイズの機械を部屋に取り付けることになりますが、天井裏にダクト配管など必要とせず第1種換気システム+熱交換を実現しています。
全館空調との融合
熱交換システムを搭載すると建物全体の熱効率は上がります。ただし熱交換システムはあくまで室内の空気が持つ熱エネルギーを効率良く利用するだけです。
効率はどう頑張っても100%にはなりませんから、快適な住環境を維持するためには各所に暖冷房の装置が必要となります。
24時間換気システムは、一部の空間は対象としませんがほぼ建物全体の空気を入れ替えます。
であれば、熱交換システムよりさらに積極的に外から取り入れるフレッシュな空気を冷やしたり、温めたりすれば全館空調システムが出来上がる…と考える人は意外に多いようで。
例えば三菱地所ホームの「エアロテック」や桧家住宅の「Z空調」、アエラホームの「エアリア」などは24時間換気システムにエアコン機能を追加して全館空調システムにしたものです。
確かに、建物全体(一部対象とならないエリアもありますが)の空気を入れ替えるときに積極的に温度調節までやってしまって全館空調にするシステムは、理にかなっているように見えます。
しかし、そもそも換気を目的とした場合の空気の動きと、冷暖房を目的とした空気の動きは全く違うものがあり、単純に第1種換気システムにエアコンを組み込んでもなかなかうまくいきません。
建物内の空気の動きを正確にシミュレーションすること自体がまだまだできていませんので、第1種換気システムと全館空調システムのドッキングはまだまだ挑戦的な試みと言ったところでしょうか。
第1種換気システムのメリット・デメリット
メリット
第1種換気システムのメリットは、換気量を明確にコントロールできるところにあります。
ファンの制御をどこまで正確にコントロールするかで各社のスイッチ類に多少の違いはありますが、第3種の換気システムと比較した場合に、より必要量に近いレベルで換気システムを運転することができ、換気過多によりエネルギーのロスがありません。
さらに熱交換システムや全館空調システムなどの装置との相性が良いところにあります。
デメリット
デメリットとしては、第1種換気システムは第3種換気システムに比べると、イニシャルコストがアップしてしまいます。
また、あまり語られないことではありますが、必ずいつかは換気システム本体の交換は必要になります。
24時間365日連続運転が前提の換気システムですから、数年は問題なく動くとしても10年、20年というスパンで考えた場合、メンテナンスがどこかの時点で必要になってきますし、本体の交換も視野に入れておかなければなりません。
容易に交換ができれば良いのですが、そもそも導入した換気システムを製造しているメーカーが存在しなくなるという、笑えないリスクも一応考慮しておかなければなりません。
設計時から換気システム本体の交換まで考慮された設計になっていれば良いのですが、無理やり天井裏に押し込めたような設計の場合、機器の更新時に天井を一度解体しなければならないかもしれません。
熱交換換気システムの選び方をデメリットから考える
まずは、全熱交換型か顕熱交換型か。
温度+湿度を交換してくれるわけですから、全熱交換型のほうが良さそうに思えますよね?確かにそうですが、やはり全熱交換型にもデメリットがあります。
それは……ランニングコストが高い!
全熱交換型換気システムのほうが確かにランニングコストはかかりますが、高温多湿な気候の日本では湿気も回収してくれる全熱交換型換気システムを推したいと思います。
ヤスヤマ
ダクト式かダクトレスかの選び方をデメリットから考える
換気の確実性
ダクトレスタイプで熱交換するものもありますが、換気の確実性を求める場合やはりダクト配管を伴うシステムにする必要があります。
ダクトレスの場合、設計時の換気計算で計算された通りに換気が行われているのか?
専門家
といった声も聞こえてきています。
あなたがダクトレス換気に100%納得できるかどうか。ここがポイントです。
パッシブエナジージャパンの動画を貼っておきますので、ご覧になってください。
動画出典:http://www.passivenergie.co.jp/seseragi.php
これをご覧になって信じられるなら、ダクト式にする意味はないと思いますよ。
家の気密性
ここ、とても重要なポイントです。
ダクトレスは家の気密性が高くないとそもそも機能しません。
気密性の問題で第3種換気をやめて第1種換気にされた場合には、ダクトレスは選択肢から外したほうがいいですね。
メンテナンス性
デメリット面でも触れましたがダクト配管を伴うシステムの場合、機器の更新時に問題が発生する可能性があります。換気システム本体の交換はできたとしても、ダクトの交換は天井を解体しない限り実質不可能と言えます。
将来の設備交換などの考慮すれば、ダクトを用いない部屋ごとに換気するダクトレスに私は一票を入れたいと思います。
第1種換気システム(熱交換型、ダクト式・ダクトレス)の選び方
「第1種換気システム」というカテゴリー内にも、実は多くのバリエーションがありましたね。
熱交換型のものと熱交換なしのもの、ダクト式のものとダクトレスのもの、などなど。
第1種換気システムは熱交換システムを搭載しているものが多く、どうしてもその熱交換効率=性能の良しあしに目が行きがちです。機器メーカーや住宅会社などもその性能の優位さを積極的にアピールしてしまいます。
ただ、どんなに高効率な換気システムであっても、窓を開けた瞬間にそのシステムの効率の良さは意味をなくしてしまいますからね。。
キッチンの換気扇をONにした時にも同様に排気過多になり、カタログ上の「熱交換効率」は意味をなさなくなってしまいます。
見かけ上の性能だけではなく、総合的に判断して導入する設備を選択する必要があります。
マイホーム作りはバランスが大切ですよ!
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